パン屋と和菓子店のひどいニュースがひろがっているのだが、どちらも好きな私としては虚しくなるばかりである。 木村屋のあんぱんが日本の酒まんじゅうを参考につくられたのは有名な話だし、反対に洋風和菓子に関心がない和菓子店も今やめずらしいのではないかという時代である。 件の担当者は本当のところは日本文化にあまり関心がないのではないかとそんなことを考えてしまうのだ。
どうも前フリにはあまりよろしくない内容だが、今回は和菓子の話をしたかったので、つい。
さて、そのパン屋と和菓子店だが、私の住む愛知県はパン屋不毛の地だとよく言われている。 たしかになかなか美味しいパン屋が街中に見当たらない。 パン屋はいわゆる惣菜パンや菓子パンが中心だ。 もちろんそれが悪いわけではないのだが、パンというよりはなかの具材の味が中心なものが多く、パン好きには物足りなくなってしまうのは理解できる。
その一方で和菓子店はそれなりに恵まれている。 有名店でもない街中の和菓子屋さんという感じの店でも、かなり上品なものが出てくることが多い。 お茶席に使われるものはさすがに難しいが、饅頭や餅菓子などの庶民的な和菓子は、あまりハズレをひかないのではないか。
そのため、あまり評価のわからない初めての和菓子屋では、なるべく茶まんじゅう、薯蕷まんじゅう、麩まんじゅう、桜餅、柏餅などを頼むことにしている。 もちろん、日持ちがしない「お早めにお召し上がりください」であるのも大前提だ。
ただ、店により得手不得手もかなり差があるので、ここで言うほど簡単に評価がくだせるわけでもないのだけど。
先日、出かけた先で、住宅街の一角にある和菓子屋に入ってみた。 彼岸入りしたばかりということで、おはぎを買って帰ることにした。 餡のおはぎにしようとおもったのだが、すでに売り切れており、きな粉のものしか残っていなかったのでそれにした。
また練切も頼んでみた。
おはぎはとても上品な味で美味しかった。 ほどよく後をひかない甘さでコメのやわらかさもよい加減だった。 餡のほうが無難かとおもっていたのだが、むしろきな粉で正解だ。
ただ練切は悪くはないのだが、やはり洗練されているとは言い難く、おはぎに比べると物足りないのが残念だ。
まだ桜も咲いていないのだが、今度は柏餅の季節にそちらに仕事の予定があるので、ぜひまた訪れてみたいとおもう店だった。