ダージリンのニュースはYahoo!のトップにも取り上げられるなど、日本でも大きく取り上げられるようになった。
今回はベンガル語の履修がきっかけのようだが、元々、インドやスリランカの茶園は植民地時代からの問題もあり、経営者と労働者の格差も激しく、この地域の社会問題の縮図でもある。
現地で取引している人から、労働者は「子供を学校に通わせるだけで精一杯」というレベルの収入しかないと聞いたこともある。
紅茶好きには早めに収まって欲しいとおもいつつ、単に荒れてしまった茶園の回復だけでなく、社会に根ざした問題のため、なかなか複雑な問題だ。
2つのタイプの紅茶店
前置きが長くなってしまったが、そんな紅茶のもう少しふわりとした話だ。
ここ数年、忙しさや体調であまり紅茶の飲める店をめぐることをしなくなった。
ふと懐かしくなりネットで調べてみると、もう無くなってしまった店も多い。
そもそもこちらが店名を忘れてしまっていることもある。
おそらくHDDの古いテキスト形式のファイルを探せば出てくるだろうが、今度はそのファイルがどこに行ったかあやふやな有様である。
そんななかで感じたのは、紅茶の専門店と言っても、大きくふたとおりに分けられるのではないかということだ。
新しいタイプの紅茶店、古いタイプの紅茶店
これは私が個人的に呼び分けているだけで、独断と偏見であり、この世には二通りの人間がいる~というような、それほど意味のない分類である。
(紅茶店と書いているが、ホテルのラウンジやレストランまで含む)
茶葉を入れたままかそうでないか
このふたつを分ける最大のポイントはサーブ方法だ。
多くの紅茶店ではポットを茶葉に入れてお湯を注ぐと、ストレーナーをつけてテーブルへと運ぶ。
砂時計も一緒になってくることも多い。
客は自分で時間を見計らってカップに注ぐことになる。
ポットにはたいてい2杯から3杯ほどの分量が入っている。
1杯目はストレートで、2杯目以降は好みでミルクを入れてミルクティーにするか、という形だ。
もうひとつは、店員が蒸らし時間をはかり、茶葉を抜く方式だ。
店員がもうひとつのポットにストレーナーで濾して移す、ダブルポットと呼ばれるやり方だが、単純に茶葉を引き上げる方法もある。
前者がまだ一般的だろう。
こちらの方が店側には楽である。
なにより従業員の手間が省けるという点は大きなメリットだ。
飲食業は時間との戦いでもあり、少なくとも蒸らし時間の2~3分以上を節約することが可能だ。
反対に後者は手間だけでなくポットなどの備品も増える。
効率を考えれば選ぶべきではない。
ただし、提供される飲み物としてはそれがいいかというとまた別の話だ。
前者は1杯目は良いとして、2杯目までにそれほど時間をおかないことが大切になる。
急いで飲まなければ、2杯目をストレートで飲むのは厳しい。
2杯目からミルクティーでいいというとまた異なる。
紅茶を飲むときはそれなりに時間をかけてゆっくり飲むことが多いだろう。
数人ならば会話に花が咲くことも普通だ。
それこそスイーツをいただきながらということもよくある。
10分も置いておくと、相当に濃く苦くなってしまう。
繊維質が出て舌触りも悪くなる。
ミルクティーにしても隠しきれないマイナスな点だ。
一方で後者の方式では店側の最善と判断した蒸らし時間で出て来るので、その店のベストと考える紅茶が飲める。
ただし店のベストが客個人の好みのベストとは限らないため、その点は相性が出ることになる。
新しいタイプの紅茶店と古いタイプの紅茶店は、茶葉のタイプも異なることが多い。
特に渋みの差が顕著に現れると感じている。
古いタイプの紅茶店は落ち着いた香りの茶葉で、渋みも強めだ。
一方、新しいタイプの紅茶店は華やかな香りを好みあまり渋みも強くないようだ。
新しいタイプの紅茶店は1990年代から出現?
こうした新しいタイプの紅茶店は90年代頃から出てきたのではないだろうか。
はじめて茶葉を抜いたサーブに出会ったのは、もう記憶も薄れているが、京都は河原町にあったマリアージュ・フレール(現在は販売だけのようだ)か、それとも千駄ヶ谷のレピシエ(こちらも今はルピシアに、というか店も移転してる?)だった。
これはいいとおもった記憶がある。
また、この頃、パソコン通信のNifty-Serveのフォーラムの影響も大きかったのではないだろうか。
英語の原文を読み込んだり、自己で日本の現状に合わせた研究を行う人が情報交換を行うようになって、新しい潮流が産まれてきたのだろう。
個人的には茶葉を抜いたサーブを
紅茶はあくまでも嗜好品なので各自の好き好きで、という大前提はあるのだが、それでも個人的に比較するなら新しいタイプの紅茶店の方が好みである。
ストレートでおいしい紅茶はストレートで最後まで飲みたいし、濃い紅茶でミルクティーというのは必ずしも正解ではない。
長時間蒸らしたからといって、ミルクティーに合う紅茶になるというわけではない。
OPの茶葉で長時間蒸らしても、舌触りが悪く、やたら苦いだけの紅茶になってしまう。
BOPやCTCで、ミルクティー向きの茶葉を使う方が短時間で美味しい紅茶が淹れられるだろう。
おいしい紅茶であればあるほど、時間を気にせず、ゆっくりと愉しみたい。
せっかくの紅茶が最後に煮詰めたような汁になってしまうのは、やはり避けたいものである。