そのスマホは何のために?
2年前にドコモからMNPで移動して以来、快適にMVNOでの運用を続けている。 不満といえば、メインで使用しているスマートフォンがやや古い端末のため、システムのアップデートのたびにテザリングのための設定を強いられるだけだ。 それもMVNOではなくキャリアがメーカーに課した設計の問題なので、むしろキャリアの問題だろう。
だが基本的に他人から問われても簡単にはMVNOを薦めないことにしている。
まさに私の親が代表的な存在なのだが、
「CMでやってたけど携帯料金が安くなるんだって?」
という感じで聞いてくる人には、
「なんだかそうみたいだね」
とだけで口を濁しておくだけである。
何度もそう聞いてくる相手は、その後も自分で調べることはなく、他人をタダで使えるサポート係のように考えているのだ。
どうしてまずその手元にあるiPhoneで調べてみようとはおもわないのだろうかと不思議に思う。 スマートフォンなど宝の持ち腐れであろうし、MVNOを紹介した暁には、その後のことが容易に想像できてしまう。
生活センターに寄せられる苦情
格安スマホのトラブル急増のようなニュースが近頃巷を騒がしているのだが、そこで挙げられていたトラブルというのは、かなり唖然とするものだ。
多くの老舗のMVNOでは様々な注意書きや、端末の動作状況を細かく掲載している。 それも、よくあるいかがわしい契約のように、重要な点が小さな字で書いてあるということではなく、むしろ目立つようにはっきりと書いている。
だが国民生活センターに寄せられた苦情のひとつひとつを読むと、どのMVNOのものかまでは書いていないのだが、トラブル例として掲載されているものには、そうした注意もまったく読んでいないとおもわれるものが多い。
最近ではUQモバイルあたりが、キャッチーなCMを多く流すようになったことが原因だろうか。 だが業者が変わればサービスも変わるし、価格が安くなれば同等のサービスは受けられない可能性は高くなる。 自分で調べようとしない人にはMVNOは向いているとはおもえず、サポート料として高い料金を払ってキャリアを使っている方がよいだろう。
いきなりキツイ言い方で書いてしまったのだが、この件ではストレスが溜まっているわけで、そして調べない人はこのページにたどり着く可能性は低いだろうから、許してほしい。
そしてサポートに上乗せをするあまり、最終的にMVNOがキャリアとおなじ仕組みになってしまうことへの不安も強い。
使用しているのはIIJmio(みおふぉん)
上から目線な発言ばかりで申し訳ないのだが、そんな前置きをして。
そうでなく、ある程度自分で調べた人に聞かれた場合に薦めるMVNO、そして自分で利用しているのは、IIJmioのみおふぉんのSIMである。
IIJは決してスピードテストでも速度の出る方ではない。 そして利用データ量あたりの価格も最安ではない。
MVNOを比較しプッシュするサイトではIIJはあまり人気がない。 (とはいえ、こうしたサイトは、単純な良し悪しよりも広告収入の金額が影響するのであまり鵜呑みにはできない。IIJは紹介しても実入りは殆ど無く、旨味がないので人気がないともいえる)
にも関わらず、私に限らず、口コミサイトや個人ではおすすめのMVNOとしてIIJをあげる人は少なくない。
それはIIJに対する信頼性に他ならないだろう。
- 技術力がある
- 阿漕なビジネスをしない
今現在、この点においてIIJを凌ぐMVNOは存在しない。
少なくとも現在のMVNO業界に対し、IIJが果たしている役割は小さくない。
- iOS8以降のiPhoneでKDDI系のMVNOを利用する方法
- SIMフリースマホの各機種でETWS(緊急速報)の受信状況のテスト
- MVNOでのJアラート対応状況
- au系端末でのMVNOの技術解説
- フルMVNOへの取り組み
など、今、思いつくだけでもこれだけのリストが並ぶ。
また頻繁に利用者や業界関係者、さらには官庁の人間までを招きセミナーを行うなど、活動にも余念がない。
一方で、業界に蔓延している縛りなどの悪習や、ゼロ・レーティングに対する消極的な態度など、ユーザー間の不公平さをなるべく生じないことを基本姿勢としている。
この点がユーザーの忠誠度に大きく影響しているといってもいいだろう。
よいサービスはいたちごっこ
よいMVNOの条件をあげるとすれば、
- 価格が安く
- スピードが速く
- サービスが誠実
これが理想的なMVNOだが、実際にはそんな回線業者は存在しない。
仮にあるとしても、すぐに口コミでユーザーが増えてしまい、設備増強が追いつかず、スピードがすぐに落ちてしまうだろう。
万能のMVNOはなく、結局はイタチごっことなるのは目に見えている。
安くて速くサービスの良い業者にはユーザーが集まり、スピードは出なくなる。 まともな業者なら、時間はかかっても回線を増強して対応するが、そうなれば結局ユーザーが増えて遅くなる。
この繰り返しだ。
逆に安くて速いままの業者というのはなにかしら問題があると考えていいだろう。
実際、スピードテストで上位に来るMVNOは、実際の利用者の評判はあまり良くない。
テストの測定結果が実際と異なるという使用者の声は根強くあるし、モラルに疑問がある会社も多いのが現状だ。
価格以上に安定性を重視
スマートフォンはすでに重要なインフラである。 大規模な自然災害以外に、障害やその他の理由で長時間使用できないことがあるのは、生活に直結してしまう。 以前はスマホを忘れて外出してもそれほど困らなかったのだが、いつの間にかかなり不便を感じるようになっていた。
ちょっとしたことをすぐに手元で調べられることのありがたさというのは他に代えがたい。
だからこそ可能な限り、安心して使いたいのである。 逆に少々価格が安くても、信頼できない業者のサービスをメインで使うことは難しく、ましてや他人に推薦するのも厳しいだろう。
将来的に、IIJがいつまでも良心的であるとは限らず、営利企業である以上、いずれ邪悪になる可能性は高い。 ただ現時点では多くの人にとってベストな選択ではないだろうか。