1年ほど前までロジクールのM705というコードレスマウスを使用していた。
試用期間は3年程度だが、ハードに使用していることもあって、この春ぐらいには摩耗を感じるようになっていた。
別にチャタリングなどがでているわけではないし、M705に不満はないのだが、できれば有線のマウスに戻そうと考えた。
だが、意外とこれがよい選択肢がない。
地味ではあるがキーボードやマウスなどの入力装置は作業効率に大きく影響するパーツである。
にもかかわらず入力装置はPC-9801時代から年々コストが下げられている部分だ。
もちろん当時はエントリークラスのPCですら、10万円をはるかに超える価格であり、全体にかけられるコストは今とは比べ物にならない時代である。
それでもキーボードには、東プレをはじめ、HHK、黒軸等のメカニカルキーボードなど、今でも固定ファンがついているブランドはいくつかある。
しかしマウスについてはそうしたブランドは数が少ない。
以前はロジクールと並んでマイクロソフトという選択もあったが、近年価格と比べてクオリティの低下を感じることが多く、今ではあえて選ぶ必要はないと思える。
画像を主に扱う仕事ではない一般的なビジネスユースで使用するマウスとなると、
- シンプルで持ちやすいデザイン
- ある程度の耐久性
- そこそこの性能
- ほどほどの価格
という、なんともふわっとした物言いではあるが、そんなところが重要だろうか。
だいたい実売3000円から7000円くらいまでの価格帯のマウスになる。
長時間使うものなので付属品に毛の生えたレベルでも困るし、かといって消耗品と考えれば、高額すぎるのもよろしくない。
これまで使用していたm500(現在はm500tというパッケージ違いの同品)ではこのなかでは3000円代になる。
ただ、このクラスにしても今はコードレスマウスの方が主流となっているようで、有線マウスの選択肢は年々少なくなっている。
現在でも性能の高いマウスに力を入れているところは、ゲーム用途のマウスを制作しているメーカーとなる。
いわゆるゲーミングマウスと呼ばれている分野になる。
ゲーミングマウスというと、ボタンが多数付いているようなゴテゴテとしており、価格も高額なイメージがある。
シンプルなタイプで買いやすい価格帯のマウスもいくつかラインアップされている。
そのなかから今年のはじめにロジクールGのProdigyシリーズとして販売されているG403を購入してみた。
それから1年ほど使用したのだが、予想以上によい選択だったとおもう。
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G403のレビュー
G403は、マイクロソフトが発売していた、IE3.0のクローンと呼ばれるタイプのマウスである。
Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0はマウスの歴史の中でも名機として知られている。
本家は4.0の発売で生産終了したものの、一度復刻されたことがあり、それも10年も前の2007年のことで、2011年頃には復刻版も姿を消していた。
(この秋、Surfaceブランドから再復刻版として Microsoft Classic Intellimouse が発売されているが、この再復刻版は、センサー関連があまり評判が良くない)
ゲーミングマウスとして話を続けているが、IE3.0は本来はゲーミングマウスではなかった。
ボタンの数もこの分野では多くはないし、まったく奇をてらわないデザインである。
それが故の持ちやすさと操作のしやすさから、ゲーム用途でも大いに活用され、多くのゲーマーから支持を受けたのである。
そのために、後発のゲーミングマウスにもIE3.0のデザインを踏襲したタイプのマウスがつくられるようになった。
ロジクールのG403もそのひとつである。
ロジクールのマウスはこれまで使用していたものもそうだが、自分には相性がいいブランドで、不具合が出たことがほとんどなく、それも決め手となった。
なおG403には、有線/ワイヤレスが切り替えられるG403WLもあるが、今回は有線しか使用する予定もないので、無印方を選んだ。
ドライバ等の設定は、ライトの設定をオフ(イルミネーションを消す)にしたくらいで全くと行っていいほど触っていない。
G403とM705との比較。G403の方が細く長い。
G403はマウスとしては大型の部類に入るだろう。
IE3.0のクローンとは言うが、コピーではない。
本家が左右とホイール、左サイドに2つの5ボタンという構成に対し、G403はホイールの手前にもうひとつボタンがあり、6つボタンとなっている。
このクラスのロジクールのマウスではよくあるボタン構成だ。
デザインも流線型でシンプルな形で馴染みやすい。
形状自体はIE3.0と同じなので、多くの人にとって持ちやすい形だろう。
かぶせ持ちならば、手の小さい人にも問題ないはずだ。
そうしたなかで左右のボタンのスリットなど、ゲーマー用らしくやや無骨な部分もある。
なによりGのマークが光るのはゲーマー用っぽいが、これは設定で消すことも可能なので、事務所でもだいじょうぶだろう。
見た目に反して操作感はかなり軽い。
久しくコードレスマウスを使用していたせいか、最初はサイズと重量とのバランスが奇妙に感じたが、すぐに慣れた。
ウェイトが付属しているので、重量の調節も可能だ。
本家と最も違うのは、クリック感ではないだろうか。
本家IntelliMouseは左右ボタン以外は柔らかめのクリック感だった(記憶がある)が、G403はややかっちりめだ。
同じロジクールでは、M705よりももう少しクリック感がある。
個人的にはつい力がかかってしまうので、G403の方が好みである。
ひとつ注意としてはマウスマットはほぼ必須ということだ。
M705のように読み取りがレーザー方式のマウスは、あまりシビアに考える必要がない。
それこそデスクの上で動かしても反応がしっかりしているくらいで、マウスマットはカッターマットで代用していた。
しかしG403は光学式のため専用のマウスマットを用意しないと性能を発揮できない。
この際なのでマウスマットもゲーミング用のARTISAN 零 XSOFTを選択してみた。
マウスマットは硬めの質感が苦手なので、ソフトなものを。
使用領域を考えてB5くらいのサイズで小さめのものを選択してみたが、特に問題なく使用している。
正直、これがあるとないとではマウスの反応がかなり違う。
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マウス付属のドライバにはロジクールが販売しているマウスマットの選択肢もあるので、そちらを選んでもいいだろう。
また直接的な操作性とは関係ないが、コードレスマウスを使用したときは軽い腕の痛みが出ていたのだが、有線に戻してからはかなり軽減された。
実のところ痛みはあまり意識しなかったのだが、マウスを変更してから少し無理が出ていたことに気がついた。
コードレスマウスを使用していたときは、単4の電池を単3のアダプタに入れて1本だけで使用していたが、それでも軽さは格段に異なる。
長時間の使用では、やはり有線のほうが肩や腕に負担が少ないのを実感している。
ちなみに最大の欠点は黒いことである。
黒いマウスに黒いマウスマットという組み合わせ(ちなみにキーボードも黒)は白っぽい汚れが嫌というほど目立つのは、先のマウスの比較写真でもよくわかるのではないだろうか。
実はあれでもちょっとだけ修正しているほどだ。
そのため、こまめな掃除が必須である。
もしくは、仕事中にお菓子を食べないことが大切だろう。
レビューなどを読むと、合わない人はいるようだが、マウスとしての使いやすさでは、比較的、万人受けするタイプのマウスではないだろうか。