これまでも、いくつかの記事でプッシュしているのだが、高級軸の油性ボールペンをすすめるなら、伊東屋のROMEO No.3をおいて他にないと言える。
デスクでも、金融機関や取引先に行くときのカバンのなかでも、日々愛用しているアイテムだ。
改めて確認するとボディが傷だらけになってしまっているほど、とにかくヘビーユースな文房具のひとつである。
伊東屋の古きブランド
あらためて書く必要はないかもしれないが、ROMEOシリーズは文房具店で有名な伊東屋のオリジナルブランドである。
その始まりは古く、大正3年に万年筆が発売され、その後、かなり時を経て2004年に復刻モデルが ROMEO No.2 として登場。
2009年にこのボールペンがNo.3として発売された。
つまりNo.3の名称は3代目のROMEOである。
(ちなみにROMEO No.3 には万年筆もあり、ニブやカートリッジからおそらくプラチナ製のOEMのようだ)
そんな由来があるからか、ROMEOのシリーズの外見からはレトロクラシックな印象を受ける。

ROMEO No.3 のボールペンは回転繰り出し式で、パーカータイプの互換リフィルを採用。
素材はアクリル樹脂と真鍮で、真鍮にはメッキが施されている。
中央のメッキ部分には、丸に筆記体のRの文字のROMEOのマークが入り、下にNo.3と刻まれている。
天冠は時計の竜頭をイメージしたデザインだ。
カラー展開も多彩で、定番のブラック/ロジウムメッキに、マーブルグレー/ガンメタル、イタリアンブルー/ガンメタル、イタリアンベージュ/ガンメタル、イタリアンレッド/ロジウムメッキ、ブラウン/ロジウムメッキ、そしてブラック/ゴールドがラインアップされている。
太さは太軸と細軸の2タイプが用意されている。
これとは別に、中間の太さで革巻きタイプのレザーが5色展開されている。
ROMEOの使いやすさ
回しやすい天冠
リフィルは天冠を回して出し入れする仕組みとなっている。
竜頭をイメージした天冠は、個人的にはあまり好きな発想ではないのだが、デザイン自体はそう悪くはないし、手に引っかかり回しやすい。
見た目というより機能的なデザインとして好ましい。

温かみのあるアクリル樹脂
同じくらいの価格帯で所収している他のボールペンとの比較では、パーカーのソネットオリジナルがあるが、鉄製のボールペンであるソネットと比べると、アクリル樹脂は手にしたときに温かみがあり感触がとてもよい。
金属系のボディの方がずっしりとして高級感は出るのだが、樹脂系のボディの方が筆記時にしっくりと指に馴染む。
なにより書きやすいバランス
ROMEOの特徴はやはり高級軸にあるまじき(?)その書き心地のよさだろう。
重量バランスにこだわったと開発陣がインタビューで答えているように、このクラスのボールペンでは異色の出来栄えである。
かき心地については上記のパーカーのソネットやペリカンのスーベレーンK600と比較しても一歩上を行っている。
外見の高級さでいえば、ファーバーカステルのボールペンのほうが豪華なのだが、重心バランスが悪いため、筆記具として常用するのにはためらわれる。
アルファベットでサインをするための筆記具であり、東アジアの文字の筆記には合わないのかもしれない。
カラーと太さ
他のマーブル模様も美しいのだが、所持しているのはブラック/ロジウムメッキの細軸である。
やはりブラックとクロームの配色は定番だけあって美しい。
手がそれほど大きくないので細軸がちょうどしっくりくる。
大柄の男性には太軸の方がよくあうだろう。
リフィル(インク)について
付属のイージーフロー
今のところ申し分のないROMEO No.3 のボールペンだが、ひとつ気になるのはインクである。
標準で付属するリフィルはイージーフローというパーカータイプの互換インクになる。
流行の低粘度油性インクだが、どうも書類上でボタッとしてしまうことが多い。
伊東屋の説明では各国のインクを探して選んだというが、国産メーカーの低粘度新油性と比べるとどうしても落ちるのは仕方がない。
だが同じく低粘度油性のデュポンのイージーフローや、パーカーのクインクフローとくらべても、一段、ダマができやすいように感じた。
もっとも伊東屋が扱うイージーフローはこのROMEOに付属してきたカートリッジしか所有していないため、個体差もあるので断言まではできない。
ネット上ではそこまで評判が悪いわけではないので、ハズレを引いた可能性も高いだろう。
そもそも購入時は数年前であり、近頃のインクの研究は日進月歩なことを考えると、もしかしたら最近では改良されているかもしれない。
古いタイプのインクを使用中
複写用途が多いため、旧来の油性リフィルに入れ替えて使用してる。
パーカー互換のG2リフィルだが、低粘度の新油性では国産の方が選択肢が多いとはいえ、旧油性に関しては海外製でも困ることはない。
いくつか試した結果、パーカーの古いタイプやペリカンのスーベレーンに付属していたリフィルが好みだった。
もう1本購入するなら
今回、ヘタながら写真を撮影するにあたってあらためて確認してみると、ボディにかなり傷がついている。
万年筆だとプラスチックを磨くクロスでメンテナンスをしたことがあるので、いずれROMEOも試してみるつもりだ。
さらに、せっかくなので、もう1本、イタリアンブルーか、普段はあまり手にしないレッドあたりを追加で購入してみたいと機会を狙っているのだが、他にも欲しいものがあることもあり、なかなか決心がつかないでいる。
とはいえ、はじめて購入される方には、さまざまな美しいカラーがあるとはいえ、やはり定番のブラック/ロジウムメッキをおすすめしたい。