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iPhoneSEは2020年に第二世代が発売され復活しています。
iPhone SEは2016年の発売ながら、今でもユーザーの支持の多い機種で、後継機種を求める声は少なくない。
4インチディスプレイという今となってはかなり小さいサイズのスマートフォンだが、片手で操作できる小型のスマートフォンを求める声は根強くある。
小柄な人が多い日本を始めとするアジア圏だけでなく、欧米のスマートフォン関係の掲示板でも、SEのような小型のスマートフォンを望む声はよく見られる。
もちろん日本などのユーザーが英語で書き込んでいる可能性もあるが、つい先日、アメリカのオフィシャルストアで、iPhone SEがセールで登場したところ、あっという間に売り切れてしまったことを考えると、やはり需要はかなりあるとみていいのだろう。
だが発売から2年以上が過ぎても後継機種が出る気配はなく、むしろiPhone自体も大型化して、APPLEからは通常のiPhoneですら4インチ台の機種が消えてしまった。
考えられる理由はいくつかあるが、やはり世界のスマートフォンの潮流がほぼ5インチオーバーで確定してしまったことが根本的な原因ではないだろうか。
消えゆく4インチスマートフォン
画面サイズは単純な拡大は一段落ついたように感じるが、その分、アスペクト比が16:9より縦長になっている。
GSM Arenaという海外のサイトには、世界の主な各地で販売されているスマートフォンの大半のデータが掲載されている。
ここのデータから、2018年に発売された4インチ台のAndroidOSを搭載した機種を検索してみる。
(iOS機種がないのは確実のため)
なお画面の最小サイズは指定しておかないとスマートウォッチまで表示されてしまう。
※急激にグローバルシェアを増やしているアフリカで人気の伝音Transsion Holdingsなどは掲載されていないがこれらの機種はすべて5インチ以上。
Phone Finder results - GSMArena.com
結果はわずか7機種しかない。
2018年にこのデータベースに登録されたAndroid機は410機種であることを考えると、いかに少ないかがわかる。
物理キーを搭載した特殊な立ち位置であるBlackBerry2機種は別として、Lava、Micromaxはインド、BLUはアメリカの貧困層に人気のメーカーである。
いずれも日本円で1万円以下で購入できるものばかり、画面解像度もスマートフォン登場初期の頃のレベルになる。
OSも必要メモリが少なくて済む軽量版のGo editionと呼ばれるものを採用しているなど、ローエンド帯のなかでもかなりの低い性能だ。
ハイエンドのパーツを小型ボディに詰める難しさ
さすがに昨年あたりから頭打ちになってきたとはいえ、現在のスマートフォンは高性能化が激しい。
単にパーツサイズだけでなく、排熱の問題も考えると、4インチの小型ボディに、高性能の部品を詰めるのはかなり厳しい。
そうした一方で狭額縁のベゼルレスなデザインの流行のため、イヤホンジャックの廃止やフロントカメラのためのノッチといった工夫をも強いられている。
iPhone SE は、廉価版とはいえ当時としてはSoCもAシリーズのフラッグシップを使用していた。
APPLEのブランド戦略上、廉価版であっても大きく性能の劣る機種を作るわけにはいかないだろう。
現行機種に近い性能のコンパクトタイプを4インチのボディに押し込めるのは、かなり難しいのではないか。
低い利益率とアップルのビジネスモデル
あとはビジネス上の問題もあるだろう。
2016年の段階でもSEは利益率の低い機種であるという。
トレンドが完全に5インチ以上となってしまった状況では、ボディを構成する部品の調達もさらに割高になる。
仮にSE2なる機種が発売されたとしても、同レベルの価格を維持するのはさらに厳しいだろう。
APPLEのビジネスモデルは、シェアは低くとも、高い利益率に支えられており、そう考えるとSEの後継機は戦略的に旨味がない。
高機能な小型スマートフォンはSONYのXperiaからも出ていたが、それも最後には5インチとなり、ついにラインナップから姿を消してしまった。
ましてやiPhoneSEは横幅6センチ以下であり、このサイズのiPhoneをAPPLEが発売する可能性は、大きなトレンドが変わらない限り期待できなさそうだ。