ビジネスの財布で押さえておくシンプルなポイント
ビジネスの場において男の財布というのはそう選択肢があるわけではない。 子供っぽい主張の激しい財布は避けた方がいいのは当然だが、押さえておくポイントは簡単だ。
- 外の色は黒ブラック
- 素材は馬革か牛革
- ブランドロゴやポイントがない
- シンプルで奇をてらわない
この4つのポイントさえ満たしておけば失敗することはないだろう。
もっとも、仕事によってはそうもいかない場合がある。 下世話な話だが、はっきりとわかるようなブランド物で金があるように見せることで成功する場がないわけではない。
ただ、一般的なビジネスの現場ではあまり歓迎されないことが多い。 取引先との食事で、派手だったり学生が持つような財布で会計をすると、上司に注意されることもあるだろう。
ビジネスマナーというよりは、こちらが浮ついていない落ち着いた人間であることをアピールすることは、多くの場合においてむしろプラスになるからだ。
長財布か二つ折りか
では財布の種類はなにがいいのだろうか。
長財布、二つ折りが一般的で、しばしば論争になるが、これは正直なところ、これは上記の4点をクリアしているならば、どれでも構わない。 他には財布タイプのマネークリップという手もあるだろうし、最近ではラウンドファスナーの財布もビジネスの現場で市民権を得るようになった。
だが迷ったら長財布をおすすめする。
未だに長財布がお金が貯まるようなイメージで語るおかしなガイドもいるが、それは迷信としか言いようがない。 長財布は紙幣が入ってくる、などとも言うが、カード社会ではどうなるのだろう。 それこそ欧米のビジネスマンは二つ折りの財布が一般的だ。
ただ日本の地域性からして、まだまだクレジットカードが使えない店も多い上に、小銭も多く、紙幣も大きめだ。 そしてビジネスの現場の財布なら、スーツの胸ポケットか鞄のなかに入れるのが一般的だろう。 なにか特別なこだわりがあるのでなければ、小銭入れ付きの長財布の方がもっとも使いやすいのではないだろうか。
この長財布に加え、サブとしてのコンパクト財布がひとつあれば万全だが、この話はまた別の機会に話したいとおもう。
関税を考えると国内製造
だが問題なのは、長財布で小銭入れ付き、となると、選択肢が限られるのだ もちろん品質を問わなければいいのだが、やはり人前に見られることを考えると、革の質も縫製もしっかりしたものを選びたい。
製品だが、やはり日本国内で製作されたものを選びたい。 昨今では決して質の伴わない国産礼賛も増えているのだが、やはり出来の良いものでは、今はまだ日本の職人の縫製技術のすばらしさを感じることがある。
それに海外製品は関税の影響があるのを忘れてはならない。 革製品の関税はかなり高いため、品質に対する価格に大きく影響してくるのだ。
もちろんいいアイテムを手に入れたい。 とはいえ、良い物は高いのがこの世の常である。 この低金利で住宅ローンを組んだ人や、子供の学資で苦労しているビジネスマンも多いだろう。 これからどのようなスタイルで仕事に臨めばいいのかと悩む新入社員の方もいるかもしれない。 そもそも革製品を趣味とする人でもなければ何万もするような高い財布に手を出すのは憚られる。
なにより常日頃出し入れする財布は消耗品なところもあることを忘れてはならない。
そこで、買いやすい価格、かつ質が良く、長く使えそうな長財布を紹介したい。
2万円前後のおすすめ小銭入れ付き長財布
まずは予算2万円前後のおすすめから。
ル・プレリー プレリーギンザ ボックスカーフベネチアン長財布
牛革でも最高級に位置するボックスカーフは、さらりとした手触りに、細かなシボにより傷が付きにくく、ついても目立ちにくく、財布にはまさにうってつけの革。 この財布はフランスはアノネイのクローム鞣しのボックスカーフを使用している。
内側はアンティーク仕上げされたセミアニリン革で、落ち着いた葡萄色(えびいろ)を差し色として映える。 少々、渋めのデザインだが、スーツ姿の若者が使えば大人の印象を周りに与えるだろう。
プレリーGINNZAはプレリーの上級ラインに位置するため、間違いのない逸品だ。
ル・プレリー プレリーギンザ ボックスカーフベネチアン長財布
キプリス シラサギレザー小銭入れ付き通しマチ束入長財布
シラサギレザーはキップスキンを姫路のタンナーにより、タンニンとクロームのコンビ鞣しをした革で、その名は姫路城の美名である白鷺城に由来する。 目の詰まったしっかりした革であり、濃淡のある染め付けも特徴的だ 内面はブライドルレザーのようにWAXでロウ引きされており、革の保護と強度に一役買っている。 ロウは使い込むと取れてゆき味わい深い色合いになる。
キプリスは革だけでなく縫製技術にも定評があり、そのメーカーでもっとも人気の高いシリーズがこのシラサギレザーである。

3万円前後のおすすめ小銭入れ付き長財布
ここからはもう少し上の3万円前後の財布を見てみよう
キプリス 新コードバン&ベジタブルタンニン小銭入れ付き通しマチ束入長財布
馬や牛でもっとも人気の革といえばコードバンとなるが、きわめて水に弱く、日本のような雨の多い地域では管理に気を遣う。 しかもここ数年の値上がりがひどく、よい革を使った財布はかなりの高額になっているのが現状だ。 とはいえ、その美しさはやはり他の革には代え難い。
しかしキプリスのこのシリーズは、質の良い国産コードバンを使用していながらも価格が比較的こなれており、値上げ幅を抑えたシリーズだ。 外側のコードバンの美しい輝きに、内側の明るいカラーのヌメ革がアクセントとして上品な対比をみせている。 もちろんキプリスが誇る縫製の技術も健在である。
キプリス 新コードバン&ベジタブルタンニン小銭入れ付き通しマチ束入長財布
ダンヒルDunhill シャーシ長財布
これまで国産(革は欧米産か国産で、国内でのハンドメイド)の物ばかり取り上げてきたが、やはり海外ブランド物がよいという方もいるだろう。 エッティンガーやホワイトハウスコックスという手もあるが、やはり知名度ならばダンヒルになる。
ダンヒルのシャーシはカーボンレザーを使用した長財布だ。 カーボンレザーはその名の通り、牛革に炭素を融合させた新しい素材で、革の欠点である耐水性や耐久性にすぐれている新しい技術の革である。 この手の素材のアイテムはしばしば派手であったり、場合によっては安っぽくみえるときもあるが、シャーシは落ち着いた外見でビジネスでも大人の男が持つのにふさわしい財布だろう。
そしてブランドもので気になるロゴが表になく、内側のカード側に刻印されているのもよいポイントだ。
総評
いかがだろうか? もちろんここにあげたのはごく一部であり、もっと多くの候補はあるのだが、比較的、質と価格のバランスが良く、それでいて革製品マニアでなくとも手の出やすい価格帯のものを選んでみた。 ビジネスではおそらくクレジットカードでの支払いも増えるだろうが、どれもじゅうぶんすぎるほどカードの収納もあるので苦労はしないだろう。
財布は実用品でもあり、使っていくうちに一家言の持ち主になる人も多いだろう。 だがまずは最初の一歩として、良い財布に出会えることを願っている。